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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶

───…
ここはどこだろう…
どこかのお寺のようだった。
誰もいない、夕暮れ時。
私は知らないはずの境内を懐かしく思いながら歩いていく。
「この先…さっきの景色が見れる場所」
この先に何があるのか分かってしまう。
『あっちに行こう』
小さい子供がふたり、手を繋いでこちらに走ってくる。
その子供は双子のようで微笑ましかった。
私と彩ちゃんも小さい頃はあんなだったかなと思い出す。
「あっ…」
ひとりの子がつまづいて倒れ、手をつないでいたもうひとりの子も倒れた。
ひとりは大泣きをして、もうひとりはその泣いている子を気遣っていた。
だけど、泣いていない子の方が傷が深そうだった。
『麻耶…大丈夫?ほらっ泣かないで』
かけよってきた両親だと思われるふたりは、大泣きをしている麻耶?のほうに気が行き、もうひとりの子には気がついていないようだった。
『美弥は大丈夫ね…』
そう言って、麻耶を連れて境内のほうに消えていく。
残された美弥は血が流れる足を引きずりながらその後を追う。

