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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶

─…
──…
───…
目の前に広がる燃えるような夕日が怖いほど赤く私を照らす。
初めて見る風景に懐かしさを感じながら、その風景を見続ける。
「…燃える様な恋をしてたんだよ…」
隣から声がして、そちらに顔を向ければ、着物を着ている男性が立っていた。
そして、ゆっくりと私の方に視線を向けた。
その視線が絡み合い、懐かしい感じが私を襲う。
知らないはずの彼を私は知っている気がした。
「…あなたは…」
誰だろう…
すごく懐かしくて、会えてうれしいと思える。
辛うじて出た言葉に、彼は困惑して顔をくしゃりと歪ませた。
「…美…弥…?」
彼は私ではない人の名前を呼ぶ。
『美弥』…
その名前は、俊樹が最後に呼んだ名前だった。
彼は私を悲しそうな瞳で見つめる。
その頬に触れたくて手を伸ばそうとした瞬間、視野がぐらりと揺らいだ。

