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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶

「華?もう心配いらないから…」
いつもの優しい表情を私に向ける。
その表情に助かったのだと分かった。
「華…?私が分かる?」
返事をしない私を心配する。
だけど、どうして俊樹がいるの?
だって俊樹は…
「しの…篠原さんと…デー…」
デートだったんじゃないのとは言葉が続かない。
「するわけないよ。…この手錠外すからまってて…」
あれほど外れなかった手錠は、俊樹の手によって簡単に外された。
そして、毛布で包まれて俊樹の腕の中で抱きしめられる。
「よかった…無事でいてくれてよかった…」
「…俊樹…私…は誰?」
意味も分からない言葉を口にする。
あの記憶が作り物だとは思わない。
かといって、断片的に思い出したことが真実だとも思えなかった。
その答えを俊樹は知っていると直感的に感じ取る。
全ての鍵は俊樹が持っているのだと思う。
だから、私は俊樹に聞く。
「…俊樹…私は…誰なの?」
だけど、その答えを俊樹の口から聞くことはできなかった。
助けだされた安心感からなのか、ひどい事が続いた疲れなのか、意識が薄れていく。
「華…華…?」
その薄れていく意識の中で俊樹が必死に私の名前を呼ぶ。
そして…
「…美弥…お願いだから…華を連れていかないで…返して…」
消えゆく意識の中にはっきりと聞こえた『美弥』という名前に記憶が引きずりこまれた。
いつもの優しい表情を私に向ける。
その表情に助かったのだと分かった。
「華…?私が分かる?」
返事をしない私を心配する。
だけど、どうして俊樹がいるの?
だって俊樹は…
「しの…篠原さんと…デー…」
デートだったんじゃないのとは言葉が続かない。
「するわけないよ。…この手錠外すからまってて…」
あれほど外れなかった手錠は、俊樹の手によって簡単に外された。
そして、毛布で包まれて俊樹の腕の中で抱きしめられる。
「よかった…無事でいてくれてよかった…」
「…俊樹…私…は誰?」
意味も分からない言葉を口にする。
あの記憶が作り物だとは思わない。
かといって、断片的に思い出したことが真実だとも思えなかった。
その答えを俊樹は知っていると直感的に感じ取る。
全ての鍵は俊樹が持っているのだと思う。
だから、私は俊樹に聞く。
「…俊樹…私は…誰なの?」
だけど、その答えを俊樹の口から聞くことはできなかった。
助けだされた安心感からなのか、ひどい事が続いた疲れなのか、意識が薄れていく。
「華…華…?」
その薄れていく意識の中で俊樹が必死に私の名前を呼ぶ。
そして…
「…美弥…お願いだから…華を連れていかないで…返して…」
消えゆく意識の中にはっきりと聞こえた『美弥』という名前に記憶が引きずりこまれた。

