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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶
「華…俺が欲しい言葉を言ってごらん?快楽か苦痛か…選ばせてあげるよ」

こぼれてしまったビールを手で拭きながら、優しく問われる。
快楽か苦痛かどちらかを選べと。
先程の痛みが、触られてもいないのに花芽に走る。
その痛みを感じ取った時、答えは自ずと導き出される。

「私は…」

慎重に言葉を選ぶ。
間違った言葉で高宮くんの逆鱗に触れないように…

「私は…まこっ…まことに…だか…だか………」

分かっていても、その先の言葉を口にすることはできなかった。

「痛みを取るってことなんだ。…このクリちゃんがちぎれても知らないよ」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ッ――――――――――!!!」

花芽を軽く押されて叫び声をあげた。
これだけで気絶しそうなほど痛いのに…ちぎれてしまうほど噛まれたらと思うともう正常な思考回路は壊れてしまう。

「これが最後…華…華はどうされたい?」

軽い痛みを与えられながら聞かれて、私は観念して言葉を紡ぐ。

「まこと…お願い…私を…」

高宮くんの瞳が私をじっと見つめる。
次の言葉が何なのか楽しんでいるかのようだった。
きっと、その先の言葉を言わなければ、すぐさま痛みを与えてくる。
そして、高宮くんはどっちでもいいんだと思った。
快楽でも苦痛でも、私が望めばそれを与える。
どちらでも高宮くんの望む答え…
だったら…




「抱いて…」




私は、自分から抱いてほしいと懇願して、抱かれる事に同意した。
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