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第13章 混在する記憶

噛まれた花芽を指で押しつぶし、痛みを与えてくる。
その痛みから逃れようと暴れ、ガシャガシャと手錠の音が響いていく。
もう手の痛みの感覚もない。

「ヤメテ！！ア゛ッ―――――ごめんなさい…許して…」

何度も何度も痛みを味わい、許しを請うしかできなかった。
だけど、許してくれる気はないようでさらに痛みを与えられる。

「イヤァァァァ――――！！！」

絶叫にも似た悲鳴が響き渡る。
誰か気付いてほしい。
この声に気がついてと願うことしかできなかった。
幾度となく与えられる痛みに私の心は壊れていく。
もう全てをあきらめて楽になりたいと懇願する。

「許して…お願い…ア゛ッ―――許して…」

何度か懇願すれば、押しつぶされている手の動きが止まり、漸く深い深呼吸ができ、大きく肩で息をする。

「華…許してほしいの？」

上から見下ろされながら威圧的に聞いてくる。
指はまだ花芽に触れていた。
もし高宮くんの望む言葉を口にしなかったらと思うとゾッとした。