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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第11章 外側と内側

朔夜叔父は既に呆れ気味だが、私の方は真面目‥
問題はクラスター本社の社内改造が、どの辺りまで外に伝わっているか。
交換条件が特殊配線‥
勿論OS機器に使用するのは分かりきっているのだから、クラスター本社と結び付けるかどうかが、運命を左右する。
KIEIとして交渉しているが、特殊配線を流すのがクラスター本社だと感づかれたら、こちらの負け。
全く気付かず契約を結び付け、特殊配線を手に入れられれば、こちらの勝ち。
単純な二者択一だが、奥が深い選択‥
メールを送信してから、もう2時間近く‥向こうも対応に苦労していると見る。
「そう‥
倉原だがね、現場に戻してあげた方が良い‥
叔父と2人揃って抜けられたら、作業工程は更に遅くなってしまう」
「それは分かっているが、お前‥作業状況を見に行かなくても良いのか?」
「・・・・・
いや、任せるよ・・・」
見たいとは思うが、倉原と会う気は無い‥
10年以上守り通した苦労‥それを水の泡にする訳にもいかないせいだ。
「おかしくないか?
倉原を推したのは、紀永お前だろう‥
それなのに、一度として会おうとはしない」
「・・さあ・・・」
「・・・
16で子会社に入社させられた時、倉原はお前の上司だったみたいだな‥
一体何を隠している?」
「何も・・
倉原を推したのは、純粋に能力判断‥
元々エンジニアとしての技量は突出して高かった‥それを知っていたまで‥‥」
「じゃ何故会わない?」
「元部下が今は社長‥
向こうも、やりにくいと思ってね‥
多少の気配りかな?」
こういう時の叔父をやり過ごすのは、かなり面倒くさい。
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