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サキュバスちゃんの純情《長編》
第2章 週末の終末

昨日降っていた雨は、いつの間にか上がっていた。道路には水たまりもないくらい。
それにしても、暑い。早朝なのに、汗が噴き出そうだ。
抹茶ラテにバウムクーヘンをトレイに載せて、窓際のカウンター席に座る。日曜の朝、サラリーマンの姿はほとんどなく、デート中のカップルか幸せそうな家族がよく歩いている。
こんな朝早くから開いているチェーン店のカフェは本当にありがたい。宮野さんがよく連れて行ってくれた古い……レトロな感じの喫茶店は、朝七時には開いていない。
本当はそういう店で飲める濃いコーヒーが欲しかったのだけど、たくさん種類のあるメニューを見ていたら目移りしてしまって、ブレンドからはほど遠い抹茶ラテなんかを頼んでしまった。
「……ふぅ」
……甘い。嫌いな味ではないけど、甘い。飲み切ったら、ブレンドを頼み直そう。
バウムクーヘンをもそもそと食べながら、窓の外をぼんやり見つめる。
一人、減ってしまった。
月に一度か二度しか会えない湯川先生、少しずつ私に執着心を見せ始めた翔吾くん、気まぐれな相馬さん。連絡をすれば必ず応えてくれていた宮野さんがいなくなってしまったのは、かなりの痛手だ。
私の思い通りの――都合の良いセックスフレンドを探すのは容易なことではない。出会い系サイトで探すのは楽だけれど、生理的に無理な人もいるし、妻帯者も多い。
体の相性も大事だ。合わない人もいる。いいなと思っても、二度三度で関係が終わることもある。
「割り切った関係」を確立し継続させるのは、思った以上に難しいのだ。
何事も、継続させるのは難しい。

