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サキュバスちゃんの純情《長編》
第2章 週末の終末

最後に額にキスをして、寝室を出る。
一晩一緒に過ごしたのだから、もういいはずだ。宮野さんがいつまで私にいてもらいたかったのかは、わからないけど。
長くいればいるだけ、離れがたくなってしまうものだから。
カバンを取って、パンプスを履く。
傘を持って、さて、鍵はどうしようかなと思った瞬間に、後ろからぎゅうと抱きしめられた。
「っ、宮野さん!?」
「なんで、もう、行くの」
「……離れたくなくなっちゃうから」
私が、ではなく、宮野さんが、だけど。
私を抱きすくめながら、宮野さんは苦しそうな声で、私に告げる。
「……行かないで。まだ、そばにいて」
悪いけど、執着心を見せ始めた彼の言葉は聞けない。泣かれたって、喚かれたって、無理なものは無理だ。
「宮野さん。ダメだよ」
「名前で呼んでよ」
「潤、もうダメなの」
苦しいくらいに力の入った腕をポンポンと撫でる。色白で細い腕。繊細で優しい指。今まで私を抱いてくれてありがとう、ね。
「こんなに、あかりのことが好きなのに?」
「うん」
「あかりしかいらない。あかりだけが欲しいのに?」
「うん」
「あかりだけを、愛しているのに?」
「うん」

