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サキュバスちゃんの純情《長編》
第2章 週末の終末

「あかり……好きだよ、あかり」

 宮野さんはキス魔だ。キスが大好きな人だ。深く重いのも、浅く軽いのも、どちらも好きらしい。
 宮野さんに会うときは、口紅もグロスも塗らない。すぐに落ちてしまうから。

 もう、十何分、ソファでキスだけをしているのだろう。唇はもう柔らかくなりすぎて、吸って吸われて赤くなっているに違いない。宮野さんの首に巻きつけていた腕はもうつらくて離してしまった。
 それでも、宮野さんはやめない。私とのキスを覚えていたいのか、無我夢中なのか、よくわからないけれど。

「ん、っ」

 ちょっと酸素不足で朦朧とし始めたところで、ブラウスの裾から宮野さんの指が入ってくる。キャミソールの上から優しく腹を撫でられると、既に濡れそぼった下腹部が強く疼き、蜜がさらに溢れ出てくる。
 もっと触れてほしい。もっと気持ち良くしてほしい。もっと。

「じゅ、ん」
「あかり、脱がすよ」

 いつもは「脱がしていい?」だった。小さな違いだけど、宮野さんにとっては大きな違いだ。
 彼は、今、私を好きなように抱きたいのだ。

 ブラウスのボタンをゆっくり外し、キャミソールを押し上げ、背中のブラのホックを外す。もちろん、話しているとき以外は、キスをしたままだ。
 ブラウスをソファの下に落として、ブラの肩紐を腕から抜く。キャミソールはそのままだ。宮野さんにしてはこれも珍しい。いつもは裸で抱き合っていたから。

「脱がせないの?」
「……見たくないんだ。他の男がつけた痕は」

 チリリと胸が痛くなる。
 翔吾くんがつけたキスマークはまだ残っている。宮野さんは気にしないからと思ってつけるのを許したけど、私のバカ、宮野さん、ものすごく気にしているじゃないか。

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