この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

逃げない。逃げないで、向き合おう。
結果がどうなったとしても、それは私の身から出た錆なのだから、受け入れよう。
「私、翔吾くんが好き。でも、同じように好きだと思っているセフレさんがまだいるの。どちらがどれくらい好きなのか、私には判断できなくて……ううん、たぶん、二人とも、同じくらい、好き」
湯川先生も、好きだ。翔吾くんと同じ気持ちを、彼にも抱いている。私は、湯川先生も同じくらい好きなんだ。
それを、翔吾くんに伝えなきゃ、どうにもならない。別れるにしても、付き合っていくにしても。
それがどんなに残酷で、自分勝手な想いだとしても。
「今のセフレの中で、俺とその人が一番?」
「……うん、一番」
相馬さんも、健吾くんも、ケントくんも、違う。一番じゃない。それぞれに多少の情はあるけれど、二人ほどの好意はない。
「じゃあ、あかりは、俺が一番好きだってことだね? 一位タイで」
「うん、そうなる、ね」
「それは健吾?」
「ううん、違う人」
ぎゅうと抱きしめられる。
熱い抱擁で理解する。翔吾くんはご機嫌だ。鼻歌まで聞こえてくる。本当に、嬉しそうなのだ。
「俺もあかりが好き。一番好き。出会ったときから、あかりだけが好き」
耳元で囁かれる甘い愛の言葉は、私の心臓をドキドキさせる。顔が真っ赤になる。
でも……嬉しいなぁ、なんて、思う。

