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サキュバスちゃんの純情《長編》
第8章 兄弟の提携

「いつか、あかりの口から『好き』だって言わせたいと思ってた。八ヶ月かかったよ。長かったなぁ。諦めなくて、良かった……」
「翔吾くんは、どう、したい?」
「あかりとどうなりたいかって? そんなの、決まってる。付き合いたい。彼女にしたい。セフレじゃなくて、恋人になりたい」
セフレじゃなくて、恋人、に。
翔吾くんらしい現実的な答えだなぁと思う。
湯川先生は「結婚したい」と言うだろう。しかも、即答で。満面の笑みで。それだけはわかる。
「もう一人の人は、私と結婚したいって、言っているんだけど……」
「え、じゃあ、俺も結婚したい」
……即答でした。こちらも即答でした。目、めちゃくちゃキラキラしています。
翔吾くんは「恋人じゃなくて夫婦もいいな」と呟いて頷いている。良くない、良くないから。
「落ち着いて、翔吾くん。日本では重婚はできないから。それに、私、結婚する気はなくて」
「事実婚がいい? それなら、いいか。二人の内縁の夫に、何人かのセフレってことでしょ?」
「……いいの? そんな関係で」
「いいよ。あかりが俺を愛してくれるなら。他に男がいても構わない」
翔吾くんは、自分が言っている言葉の意味をきちんと理解しているのだろうか。その関係は、倫理とか世間体とか、色々欠如してしまっているというのに。
「あ、でも、就職してしばらくは恋人のままでいい? だから、夫一人、恋人一人、セフレ何人か、って状態だね。やっぱり、ちゃんと稼げるようになってからじゃないと結婚しちゃいけないと思うから」
……そこは現実的なんだね、翔吾くん。
話していることのギャップに、苦笑してしまう。
「会社は健吾に譲るよ。役員として補佐はするかもしれないけど、社長にはならない。もしかしたら、別の会社に就職するかも。それでもいい?」
「それは、うん、もちろん」
「子どもは作らないから、後継者争いにもならないだろうし……両親を説得しなくちゃいけないけど、何とかするよ、そこは」
翔吾くんは今後のことをパパッと簡単に決めていく。家や会社のことをそんな簡単に決めちゃっていいものか、私にはさっぱりわからないけど。

