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サキュバスちゃんの純情《長編》
第4章 過日の果実

「美術館は好き?」
「うん、好き。博物館も、水族館も好きだよ」
「じゃあ、今度からそういうデートもしようか」

 セミが鳴く山道を掻き分けるように電車が登っていく。鉄橋で川を超える音は耳に心地よく、その先のスイッチバックなんて初めて見た。
 楽しい。
 外の景色を見ながら、湯川先生と小声で話して笑い合う。

「美術館で昼食食べようか」
「うん。美術館のあとは?」
「時間があれば、他の美術館へ行ってもいいかな。チェックインは三時以降だよ」
「旅館? 温泉は広いかな? 露天風呂あるかな? 何回入ろうかな?」
「んー、温泉はちょっと狭いかもしれない」

 まぁ、うちの湯船よりは大きいでしょ! 足が伸ばせれば、それで十分だ。

「あと、何回でも好きなだけ入れるよ。一緒に入ろう」
「……え?」

 湯川先生の意地の悪そうな笑みが私を見下ろしている。
 混浴だという意味では、ない、よね、きっと。

「客室露天風呂付きの旅館をわざわざ選んだんだ。いつでも一緒に入れるよ」

 湯川先生はぎゅうと繋いだ手を握りしめた。それはまるで「絶対だよ」と言っているようで――温泉に入ったあとに浴衣を着て、さて先生を何回食べちゃおうかしら、なんて下品なことを考えていた私の、斜め上を行くプランだったのだ。
 部屋の中すべてが戦場だ。

「……楽しみ」

 顔を真っ赤にしながら、湯川先生の手を握り返す。恥ずかしすぎて彼の顔は見られなかったけど、繋いだ手の強さが、私たちの期待を物語っている。
 あぁ、とても、楽しみだ。

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