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神さま、あと三日間だけ時間をください。
第4章 ♭切ない別れ♭
「俺は美海が好きだ。お前なしじゃ、生きていけない。美海、俺を棄てないでくれ」
 愛してるんだ、棄てないでくれ。
 琢郎はうわ言のように幾度も繰り返した。亭主関白をもって任じる普段の琢郎なら絶対に口にしないような科白である。
「会社は休んだの?」
 美海が子どもにするように優しく問うと、琢郎はうんうんとまた子どものように頷く。
「うん、お前がいなくなっちまったっていうのに、会社なんて行ってられるか。ずっと、ここで待ってたんだ。どうして、もっと早くに帰ってこなかったんだ? 俺は待ちくたびれて、お前がもう帰ってこないのかと」
 琢郎の声が戦慄いた。かすかな嗚咽が洩れ、夫が泣いているのだと判った。
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