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こじらせてません
第2章 馴致
声音を低くすると、アキラはおずおずとシーツに手のひらと膝をついた。

畳んでいた脚を、再び前へ差し出す。

「もっと、キスしたい?」
「し、したいです」

こっそり熱い息を吐いたミサは、スカートを抑えつつ、両足の裏をシーツにつき、彼の目の前で膝をわずかに割った。
手を伸ばし、彼の頭の後ろを持つと、自分の方へと引き寄せていく。

「シャワー、浴びてないよ?」
「んっ、だ、だいじょうぶ、です……」
「大丈夫って言い方、なんかやだ」

彼に会う直前、自分は両親に向かってさんざん言った形容動詞を責めた。

「あっ、ご、ごめんなさいっ……」

ミサは、傍に置いていたアイマスクを手に取り、アキラへ被せた。
するとアキラの悲嘆がなお深まった。体を合わせるようになってからずっと、アイマスクを被せられるとき、アキラは下唇を噛む。

「見たかった?」
「んっ、はい……」

しかし、悲嘆だけならば……きっと神威は、もどかしげに頭を振らない。

「でもダメ。失言したから」
「んあっ、ミサ、さんっ、ご、ごめんな、さい……」
「じゃ、何? シャワー浴びてないけど、なんなの?」

アキラの頭を引きながら、更に膝を開いていった。彼が近づくにつれ、鼓動が早くなりすぎて、つい言い方が強くなってしまう。

「キ、キス、したいです」
「……手つかわないでね」

思い切ってスカートの裾をまくった。
すぐさま、彼の頭を強く引き寄せる。

一瞬自分の脚の間が目に入って、伏せていくアキラに隠されていった。

「うあっ……!」

足の甲で感じた唇が脚の付け根に触れると、自分でも驚くほどの声が出て、慌ててスカートを被せてアキラを覆った。

「あっ……、うっ……、お、音っ……」隠匿しても、聞こえてくる。「やっ、……アキラ、くん、おとっ……」

すするものがなければ、音は立たない。

彼の息が、毛先にそよぐ。
その三のキスのとき絡めると心地よかった舌先が、割って入ってくる。

「食べちゃいたい」とか言っていた自分なのに、なんだか逆になっている──そう気づいた時、研ぎ澄まされていた芯が舌に弾かれて、脳が融けきり、ミサは背を丸め、アキラの頭を強く挟み込んだ。




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