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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第16章 平穏と秘密

アトリエの方のセキュリティーを解除したら、あの壁が降りて元に戻った。
此処・・・
あの頃、ぁたしは紀永さんに聞いた事がある…
全く開けない扉にぁたしは……
『此処は?』
『物置だよ…』
そう紀永さんは答えた、普段使っていない画材なんかを入れてるから、開ける事も無いって……
ぁたしは素直にそうなんだと思っていた、まさかこんな仕掛けがあったとは思わないで…
勿論、あの頃の紀永さんが言えるワケが無いのは理解出来る…
ずっと杉田季永で通していたんだもん、ぁたしにだって言うワケが無いよ。
「・・・
私も久しぶりに此処に来た……」
「・・・えっ!?」
考え事をしていたら、紀永さんの方は懐かしそうにアトリエの中を眺めている。
「あの日から、私も此処に来ていなかったんだよ…
何となく疎遠になってしまった」
ぁたしは改めてアトリエの中を見回す……
何も変わって無い‥物も筆の1本まであの頃のまま、何1つ動かした気配が無い。
「何となくね……
来づらくなってしまい、管理を任せたまま私が来る事は無かった……
此処は思い出が多過ぎる」
間接照明を点けながら、紀永さんは独り言のように零す・・
気持ちは分かる、ぁたしもこの場所は避けていた…
紀永さんと同じで、思い出が多過ぎるから。
「今は‥居るよ?」
「だから来る気になった…
やはり此処は美紀と一緒が良いね」
「ぁたしも……」
今だから余裕を持って見る事が出来る…
あの頃はそんな余裕も無く、目の前の初めての本気の恋に回りなんて見えていなかった‥ぁたしもあの頃は純粋だったんだなぁ……
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