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禁断背徳の鎖・絡み交錯する運命の赤糸
第16章 平穏と秘密

「そう言えば……」
「??
どうしたの紀永さん?」
急に何かを思い出した感じの紀永さんに、ぁたしは不思議顔??
「少し前になるがね…
このアトリエをしきりに眺めている子が居たから、此処から裏口を通って外に出て、何か用かと聞いてみたんだ」
「??」
「その子は、美紀が此処に来てなかったか聞いて来たよ」
「ぁたし!?」
何で??
ぁたし、此処の事を誰にも話して無い。
「小柄で明るい感じの髪の、人好きするようなイメージの子だったか…
何かこう‥必死に探してる雰囲気だったが、私はどう答えて良いか迷ってね、曖昧な答えになってしまったんだが……」
小柄で人好きのする…………
「それって……桜っ!」
どうして此処が!?
ぁたし、桜に全部話して無い…
勿論、アトリエの事も紀永さんの事も、ひとことも出さなかったのに、どうして此処が??
「凄く必死な事だけは分かったよ…
だが、理由は言わなかった
"美紀が此処に来た事はないか"
聞いて来たのはそれだけ……
私が曖昧に答えると、気落ちした雰囲気で歩き出して行ったのだが‥ハッキリ答えた方が良かったのかい??」
「それは……
うんん‥曖昧で良かったと思う」
桜がどうやって此処を見付けたのか分からないケド、紀永さんの機転の方が当たり前。
やっぱり言えないよ、ホントの事は…
好きな人は居たでも別れた、桜にはそれだけ話すので精一杯‥あの時話すのはぁたしが辛かった。
封印した思い出だったから、それ以上言えなかったし聞けなかった…
桜の必死さに少しだけ絆されそうになり‥だからぁたしは話を切った。
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