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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第12章 アズの過去

唇が離れ瞳を開くと、いつもの優しいアズの笑顔がそこにあった。
「サラ。時間がもったいないから、昼飯作ろう。」
「そうだね!」
今までの重い空気はなく、いつもの楽しい空気が漂っていた。
キッチンは対面式になっていて、すごく広いリビング。
やっぱり一人では、寂しいくらいの素敵な部屋がいくつもあるアズのお家は、私も住みたいと思うくらいだった。
「なんかこうして、好きな人がキッチンにいるのって、嬉しいなっ。なんかこういうの久々だから、幸せ感じる。」
「そう?良かった。」
リビングの椅子に座って、キッチンにいる私をアズが見つめて、嬉しそうに微笑む。
トントントントン…。
包丁を使う音を聞きながら、待ち遠しくて仕方ない子どものように、アズが嬉しそうな顔をしている。
「いい匂いがしてきたっ!」
ご飯が炊ける香りにも、アズは嬉しそう。
普段私が当たり前のようにしている時間が、アズにとっては、久しぶりの幸せなんだと実感した。
今だけでも、アズが幸せをたくさん感じてくれたらいいな…。
そう思いながら、いつも以上に心を込めて料理を作る自分がそこにいた。

