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PM2時〜パッカー車の恋人〜
第12章 アズの過去

「同じ29年の月日なのに、アズは私がわからないような悲しみも、乗り越えてきたんだね。」
「サラ…結婚した事があるからこそ、サラとの関係はイケナイ事だってよく分かってるんだ。でも、どうしてもサラを離せない。寂しいからとかじゃなく、サラだから、離せないんだ。」
「アズ…。」
「理屈とかそんなんじゃなく、心が惹かれてるんだ。サラを求めてるんだよ。誰でもいいわけじゃない。代わりなんていないんだよ。サラじゃなきゃ、ダメなんだ。」
まっすぐに、熱く語ったアズの言葉が心に響いた。
こんなにひたすら、まっすぐに愛された事なんてない。
これから先も、こんなに愛してくれる人とは出逢えないだろう。
私もアズが好き。
でも、どう伝えたらいい?
独身だったら、すぐにでもアズの胸に飛び込めるのに…。
私の迷いが通じたのか、アズが私を優しく抱き締めて静かに言った。
「ごめん。困らす気はなかったんだ。ただ、俺が遊びではなくて、サラを愛しているって事を分かって欲しかっただけだから。」
「うん…わかってる。ありがとね。私もアズの事好きだよ…。」
「今はその言葉だけで、十分だよ。ありがとう。」
そう言ったアズの唇が、そのまま私の唇に優しいキスを落とした。

