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another storys
第18章 彼岸花【陽炎】
呆れ返って裏手の家に連れ帰り、足を拭かせて家に上げる。男は鷺と名乗った。変わった名前だと思ったら、親から貰った名じゃねぇ、恩ある人に鷺に似てると言われたンだ、と言う。なるほど、そう言われてみれば、シュッとした顔立ちは鳥っぽい、と言えなくもない。鷺かどうかはよくわからなかった。

布団を敷いてここで寝ろと言うと、やっぱり誘ってきた。身体と手管には自信があるなどと吐かす。
とんだスケコマシだ。
額を爪で弾いて黙らせ、その日は別々に眠った。
けれど、そんな会話は懐かしく、また、家に誰かがいる、独りじゃない、ということが何より楽しかった。

翌朝、朝餉を食べたらとっとと出て行こうとするので思わず引き止めた。

もう少し、この駆け引きを楽しみたかったのだ。
鷺が焦れて襲われて、痘痕に触れた途端に気味悪がって逃げられたら、という一抹の不安もあったが、楽しさの方が勝った。

そして七日目の夜。
とうとうその時が来た。

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