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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"


「はぁ…
高杉はん、うち少々酔おてしまいましたわ、少し風に当たって来ますぇー」

月詠は立ち上がり、フラフラと場から遠ざかる…



少し離れた廊下で柱に背を掛け、風に当たり酔いを覚まそうとしている演技をする月詠、後は引っ掛かるかどうか・・・


「ふぅー」

手で顔を仰ぎ、本当に少々赤くなった頬に風を送る。


「月詠さん、大丈夫ですか?」

予想通りに淡崎が月詠の後を追い掛けて来て、さも心配そうに此方を見ている……


「へぇ、久々に酔ぉただけどすぅ」

「本当にそうですか?」

口元が少しニヤついてるのが、生理的に嫌な感じだ…

「どういう事でっしゃろ?」

「体がフワフワして気持ち良くありませんか?」

突然淡崎は月詠を引き寄せ接吻する!!

「は‥あっ!?」

薄い唇が少し開いたのを見計らい、己の舌を入れて月詠の口内を掻き回す…

「んっ‥あぁ‥たん‥ざき‥はん…あぁぁ…」

そっと胸の合わせに手を入れ、弄び始める淡崎…

「あぁぁ…だ…駄目どす…はあん…こんな…所で…」

トロンとした物欲しそうな瞳で、淡崎を見る月詠に対してニヤリと笑っているのが、少し腹が立たないワケでもないが、此処は我慢と言い聞かせて、月詠は演技を続けている。


「ふふ…
我慢出来ますか?」

「嫌や…我慢…出来へん…あっ…うち…おかしく…なりそうや…」

勿論、月詠の迫真の演技だが……

この程度でどうにかなる訳ではないけれど、相手の出方を見る為だけに薬を盛られ、我慢が出来ない女を演じている。


「ならば、場所を替えましょうか」

「へぇ……」

高杉達が居る部屋の反対側‥空き部屋に入る二人…

そこで淡崎は、薬の入った竹筒を開け口に含み、月詠に口移しで飲ませていく…

「んっ‥んっ‥あぁー!」


(少し不味いわ、この麻薬かなり効果が強い…)


月詠だとて瑠衣と同じ、まるっきり毒や薬が効かない訳では無い…
普通の人間より効きにくいし抜けるのも早いが、暫くは体に残る。

その間にも、淡崎は竹筒に用意してあった薬を全て月詠に流し込んでしまう。


「はぁ‥はぁ‥はぁ‥はぁ‥」

演技では無く、本当に薬のせいで体が怠く、浅い呼吸を繰り返し、畳にひれ伏す月詠・・・
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