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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"

「また現れるのでしょうね」
総司が独り言のようにポツリと言う…
「…でしょう…
あまり相手にしたくは無いですが…」
総司の言葉に、瑠衣もつい本音が出てしまう。
「兎に角後始末しましょうか…」
二人は刀を収め"鬼"の水晶を拾い集めていく。
「瑠衣…
今度会ったら本気ですか?」
今日の瑠衣は完全に手加減をしていた、だが次は‥
「本気を出さないと、勝てる見込みは無いでしょう…」
手加減といっても、総司や土方並の力量で忍に対峙していた、それを交わすのならば自分が本気に成らなければならないだろう。
「そうですよね・・・・・」
ただ黙々と地面を見て、後始末をしている総司を見て瑠衣は思う。
(あぁ‥悔しいよね…普通)
総司の得意技三段突きが交わされた以上、忍の力量は総司より遥かに上…
悔しく無い訳が無い・・・
総司自体決して弱くは無い、いやむしろ普通より遥かに強い部類に入る、逆にそれだけ相手の忍が化け物並だという事だ。
(まだ、あの忍の者達の素性も分からない、ある程度の情報があれば対処の仕方も変わるのに・・・・・)
瑠衣は空を見上げ、六本になった結界陣を見る。
(多分あの結界陣の主と忍は関係がある、それだけははっきり分かる)
瑠衣は空を見上げながら、まだまだ先行き不安だなと‥そう思っていた・・・・・
土方の部屋ー
「お前らでも適わないのか…」
深夜の巡察の報告を聞き、眉間にシワを寄せて煙管を吹かす土方、その瞳はかなり難色を示している。
「認めたくは無いですが、私では歯が立ちません」
無表情に言う総司に、瑠衣は言葉が出ない…
「総司、お前でも無理ならば、うちの幹部・隊士全員無理だろ」
「そうなりますね」
土方のシワが更に深くなる、新撰組全員が奴に適わないとなれば当たり前か…
「全くとんでもない相手だぜ、世の中にそんな化け物並なのが居るのか」
「居たのですよ実際」
無い事に無表情を崩さない総司、それだけ落ち込んでいるのだろう‥
流石に助け舟を出さないと、バツが悪そうだ。
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