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スローバラードを君に
第7章 junk vs シュガースパイス


「美名っ……!」
 

 衝動に突き動かされるまま、俺は玄関まで走りドアを開けた。

 だが、其処に彼女の姿はなく、俺は憔悴し辺りを見回した。


「美名……美名っ」


 靴を履かないままで外へ出ていた事に気付き、慌てて玄関へ戻ると、部屋の窓をコツコツ叩く音がしている。

 
「なんだ……誰だこんな時に!」


 一刻も早く美名を追いかけなくてはならないのに、と苛立ち半分焦り半分で俺は乱暴にカーテンを開けた。

 怒鳴ろうと口を開きかけ、俺はそのまま固まる。

 ガラスを隔てたすぐ其処に、美名がビックリした顔をしてピザの箱を抱えて立っていた。



「美名……」


 急いで鍵を外して窓を開けると、長い髪をポニーテールに結んだ美名が無邪気に笑って言った。


「ドアを開けてくれないならこっちから忍びこもうかなって――」


 彼女が言いかけた言葉を最後まで聞く前に、腕を掴んで引き寄せ、強く抱き締めた。

 ほんの数日会えなかっただけなのに、長い間離れて居た様な気がする。彼女の温もり、髪の薫り、頬の柔らかさ――すべてが懐かしくて、いとおしかった。

 彼女は俺の胸の中で小さく震え、可愛いくしゃみをした。

 華奢な身体が冷たかった。温まるようにと、背中を擦り、頬ずりした。


「しょう君……くすぐったい」


 美名は小さく笑っている。


 ――ごめん、寒かったよな――


 俺はそんな言葉をかけるかわりに、唇を重ねた。



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