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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
一つ、また一つボックスが開けられて前のお客さんが降りていく。

ほとんどがカップルで、皆寄り添ったまま歩いていく。


一つ、一つ、夢の終わりが訪れる。

「さあ、降りなきゃね。」


ハルトに手を引かれて一緒に降りた。


前のカップルが降り場のすぐ先に止まっていてこっちを見ている。

さっきのキスを見られたのかな、恥ずかしくて目を反らす。

「羨ましいですね。」

女性が声をかけてくる。

「何が?」

ハルトが聞き返す。

「今日最後の紫のゴンドラに乗れたんですよ。
うちはあと一つだったのに…」

「お前はジンクスにこだわりすぎ…」

連れの男性にたしなめられる。

「だって、一つしかない紫に乗りたかったもの…」

「こいつ曰く、紫に乗れたらずっとそのカップルは幸せとかなんとか…
回ってる間聞かされました。」

男性はあきれた顔で女性をみて、

「すみませんね。変なやつで…」

会釈して半ば無理矢理女性を引いて離れていった。

「は?」

ハルトが振り向くのでアタシも見た。
暗くてほとんどわからないけど、ボックス本体の色が5台ずつ違う。

確かにアタシ達のだけ1台紫で前後は違う色が5台ずつなのだ。

「何ででしょうね。」
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