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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
「ハルト?」

「いや、こうしてると落ち着くから…」

「アタシが落ち着かないです。」

ハルトがコートのボタンを開けて、スリットの間に手を入れてきたのだ。

「俺が落ち着くからいいの。」

そう言ってずっと太ももを撫でている。

「ルリ、俺の膝に乗ってよ。」

「えっ?」

「いいから…」

不安そうな瞳で言われると断れない。

グラッ…

「うぁっ…」

バランスが変わり少し揺れただけなのにハルトはキツく抱き締めてきた。

「怖いなら、じっとしてた方がいいと思うんですが…」

「いや、この方がいい。」

ハルトはおもむろに腰に手を回し、太ももを触り、腰にある手も上に伸びてくる。

「ハルト、景色見ないんですか?」

「いや、見てる。じいっと見るもんじゃない。」


「あのさ、頂上でキスしたら、ずっと結ばれるってジンクス信じる?」

「わかりません…
でもハルトとずっと一緒に居られると言われたら、
何でも試したいです。」

「ふふん、もうすぐ頂上だよ。
したいなら、キスしてもいいよ。」

ゆっくりと体を捻ってハルトを覗くと、
口角を上げたあの悪戯な笑みをしている。

「景色も見たいだろうから、目は開けたままね。」
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