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sunset~君の光になりたい
第73章 mother
「千波ちゃん……あなたが苦しんできたのはよーく知ってるわ……」



ペコは、俯いている千穂の肩を抱くと、彼女は震え始めた。



「……千穂さんも……苦しんだのよ……勿論、千波ちゃんには何も罪はないわ……
でも、千穂さんの話も聞いてあげて?」




千穂は肩を震わせてペコにしがみついていたが、やがてそっと離れると、顔をゆっくりと上げた。



千波はヒロの手を握りながら、まっすぐに彼女を見詰める。




――こんな顔をしていたんだ……お母さん……



さっき悪魔に見えたその顔は、涙を堪えて悲しげに歪んでいた。

色が抜ける様に白くて、こちらを見詰める瞳はどこまでも優しかった。

小さな唇は何か言いたげに開きかけて、また閉じられる。



――そうだ。私が小さな小さな頃。
この唇から発せられるお母さんの声が好きだった。

眠る時にはいつも、小さなネズミが森で大きなケーキを焼く絵本を読んでくれた。

私が大好きだった絵本だから……




「千波……ご……めんね……ごめんね……」



震える優しい声が幼い頃の優しい思い出を呼び覚ました。




「……お……か……あさ……ん」



千波は無意識に呟いていた。
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