この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第33章 浜辺の約束

「私はあの約束をとても大切なものだとずっと思うてきた。妻に迎えるのなら、他の誰でもない、そなた以外は考えられぬ」
その言葉に、弾かれたように千草が顔を上げた。
「私だって、同じにございます。頼嗣さま、私もずっとずっと、心の中であの約束を後生大事に宝物のように抱(いだ)いて参りました。されど、どう考えてみても、頼嗣さまのご正室としてふさわしいのは河越の娘である私ではなく、執権どのの妹姫さまです。これは変えようのない事実なのです」
その言葉に、弾かれたように千草が顔を上げた。
「私だって、同じにございます。頼嗣さま、私もずっとずっと、心の中であの約束を後生大事に宝物のように抱(いだ)いて参りました。されど、どう考えてみても、頼嗣さまのご正室としてふさわしいのは河越の娘である私ではなく、執権どのの妹姫さまです。これは変えようのない事実なのです」

