パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第36章 《巻の参―杏子の樹の傍で―》

　今日だって、泉水が何かしら物想いに沈んでいることが判ったからこそ、こうして勇気づけてくれようとしているのだ。これが夢五郎なりの優しさであった。
　白い蝶はやがて桜花と桜花が重なり合った花(はな)叢(むら)の中へと吸い込まれるように消えた。
「夢なんざァ、所詮、そんな頼りない儚いものさ。かと言って、夢札は確かに未来を占う一つの手立てにはなるから、馬鹿にはできないがな。