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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
「今宵はお褥はご辞退させて頂きたいのです」
「何?」
 泰雅の額の皺がますます深く、眼付きが剣呑になる。
「頭(つむり)が痛くて、到底お相手ができそうにございません」
 嘘ではない。現に、こうしている今でさえ、頭が割れそうに痛む。短い静寂があった。その間中、泉水は唇を噛みしめて下を向いていた。
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