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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~

扉を開けて、彼が出てきた。
「あ、おいくらですか。」
わたしは、財布を開けた。
「いいよ。」
「え、でも……。」
ごちそうになるのは……と思ったけれど、彼は
「仕事がんばってる、ごほうび。」
と言った。
そこまで言われたら、もう払えない……。
「ごちそうさまでした。」
わたしは、丁寧にお辞儀をした。
「ね、ちょっと寄りたいところがあるんだけど。
つきあってくれる?」
「あ、はい。」
どこに行くんだろう?
もう一軒…?
それとも、まさか…。
……いけない妄想……もしてしまう……
「どこか、ケーキとか売ってるところ知らない?
奥さん、甘いもの食べたいって言ってたからさ。」
……あ、そういうことなんだ。
ちょっと、安心しちゃった……けど、
どこかで寂しい気持ちのわたしもいる。
「このあたり、ケーキ屋さんないですよ。
反対側の通りなら、まだドーナツ屋さんが開いてますけど。」
「あ、……通りのドーナツ屋のこと?」
「そうです。」
「じゃ、それでいいや。」
彼は、行先が決まったことで、どんどんと歩いていく。
彼……、人混みが嫌いなんだろうな。
わたしだったら、人混みが多くてもわかりやすい道を歩くのに
やたらと、狭い道に入っていく……。
「人混み、嫌いですか?」
「うん、嫌い。」
人通りがほとんどない道に出て、彼の歩く速度が遅くなった。
「こんな道、あったんですね。」
彼が振り向き、
わたしを抱きしめた……。
え……、一瞬、息が止まった。
「抱きしめるの…上手でしょ。」
彼が、耳元で囁く。
「え、あ……。
ダメですよ……。」
わたしは、小さな声でそう言った。
でも……、彼を引き離すことができない。
しばらくして、彼は、私を離した。
わたしを見つめて、ニコリと笑った。
なにを言えばいいのか、
どうしたらいいのかわからず
「あ、ドーナツ屋さん閉まっちゃいますよ。」
わたしは、そういうのが精いっぱいだった。
「そうだね。」
彼の表情は見えなかったけれど
彼は、歩き出した。
わたしは、ぼんやりした頭で彼と一緒に歩いていった……。
「あ、おいくらですか。」
わたしは、財布を開けた。
「いいよ。」
「え、でも……。」
ごちそうになるのは……と思ったけれど、彼は
「仕事がんばってる、ごほうび。」
と言った。
そこまで言われたら、もう払えない……。
「ごちそうさまでした。」
わたしは、丁寧にお辞儀をした。
「ね、ちょっと寄りたいところがあるんだけど。
つきあってくれる?」
「あ、はい。」
どこに行くんだろう?
もう一軒…?
それとも、まさか…。
……いけない妄想……もしてしまう……
「どこか、ケーキとか売ってるところ知らない?
奥さん、甘いもの食べたいって言ってたからさ。」
……あ、そういうことなんだ。
ちょっと、安心しちゃった……けど、
どこかで寂しい気持ちのわたしもいる。
「このあたり、ケーキ屋さんないですよ。
反対側の通りなら、まだドーナツ屋さんが開いてますけど。」
「あ、……通りのドーナツ屋のこと?」
「そうです。」
「じゃ、それでいいや。」
彼は、行先が決まったことで、どんどんと歩いていく。
彼……、人混みが嫌いなんだろうな。
わたしだったら、人混みが多くてもわかりやすい道を歩くのに
やたらと、狭い道に入っていく……。
「人混み、嫌いですか?」
「うん、嫌い。」
人通りがほとんどない道に出て、彼の歩く速度が遅くなった。
「こんな道、あったんですね。」
彼が振り向き、
わたしを抱きしめた……。
え……、一瞬、息が止まった。
「抱きしめるの…上手でしょ。」
彼が、耳元で囁く。
「え、あ……。
ダメですよ……。」
わたしは、小さな声でそう言った。
でも……、彼を引き離すことができない。
しばらくして、彼は、私を離した。
わたしを見つめて、ニコリと笑った。
なにを言えばいいのか、
どうしたらいいのかわからず
「あ、ドーナツ屋さん閉まっちゃいますよ。」
わたしは、そういうのが精いっぱいだった。
「そうだね。」
彼の表情は見えなかったけれど
彼は、歩き出した。
わたしは、ぼんやりした頭で彼と一緒に歩いていった……。

