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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
彼は、店を見て、


 「へ~、こんなところにお店あるんだ。
 こっち側って、学生とか多そうなイメージだったから。」


彼が、少し驚いていた。


私は、重い木の扉を開けた。


扉を開けると、すぐにレジがあり
店員が


 「いらっしゃいませ。」


と、声をかけた。


 「ふたり…です。」


左手、指をピースサインにして返事し、
すぐに振り向いて


 「2階でいいですか?」


振り返って、彼に確認した。


 「どっちでもいいよ。」


 「2階でお願いします……。」


扉を入ってすぐ左側にある栗色の木の階段を上っていく。
古い洋館にありそうな、重々しい階段。
一歩進むたびに、きしむ音が聞こえる。


二階に着くと
時間が早いのもあり、
彼と……ふたり。


 「そっち、どうぞ。」


彼は、さりげなく奥の席を譲ってくれた。


彼のこういうジェントルマンなところが……好き。


女性の扱いに慣れている……ところ。


一緒に仕事をしている時も、それを強く感じた。


そういう一つ一つの動作やしぐさ……、
見逃せなくて。


カメラのシャッターを押すように
全部…
わたし……覚えてしまっている……。


 「いらっしゃいませ。」


店員が、おしぼりを差し出し、メニューを彼に渡した。


彼は、私に


 「オススメ、ある?」


と聞いた。


 「小野木さん、好き嫌いはありますか?」


 「ん~、特には。」


私は、この間、友だちと食べておいしかったものを
いくつか選んだ。


しばらくして、オーダーを取りに店員が来た。


 「あ、俺、生ビール。」
 「じゃあ、私も。あと、フードは……。」


一通り注文が終わって、店員が下へ降りた……。


私の向かいには、彼が座っている。


急に、心臓がバクバクしてきた……。


 「昨日、急にごはん誘ってゴメンね。」


彼が、微笑んだ。


 「え、そんな。
 ほら、いつも、わたし。
 食事、連れて行ってくださ~いって言ってましたし。」


うつむいて、わたしは言った。


 「仕事、がんばってるよね。ホント。」


彼が、そう言ってくれた。


ちょうど、その時、店員が生ビールを持ってきてくれた。


ワイングラスに入ったビール……。


琥珀色の向こう側に、彼の姿が見えた……。


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