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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
 梅の刺繍は既に半分以上は仕上がっている。トンジュは、なおも巾着を見つめている。大きな手のひらにちょこんと乗った巾着は随分と小さく見えた。
「見事なものだ」
 褒められて、少しくすぐったいような気持ちになった。
「珍しいのね。褒めてくれるなんて」
 サヨンの言葉に、トンジュは意外そうにまたたきした。
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