この作品は18歳未満閲覧禁止です
~散花~
第29章 入内
(あぁ…疲れた……)
玉蘭は、とばりに囲まれた寝台に身を投げ出した。
芙蓉が退出したあともしつこく続く野次馬お妃たちの覗き見に辟易し、寝所に逃げ込んだところである。
第一夫人の宣下を受けてからまだニ刻。
(もっと長い時間が過ぎたような気がするわ…)
極度の緊張からくる疲労が、羽毛の布団へ染みだしていく。
うつらうつら――
微睡みかけた、その時、
「琳夫人さま、失礼してもよろしいですか」
聞き覚えのある声が、とばりの向こうから聴こえてきた。