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~散花~
第29章 入内

「では玉蘭さま、一緒に参りましょう」
「どこにですか?」
「玉蘭さまの新しいお住まい、南の舎殿ですわ。この御寮では狭すぎますもの」
芙蓉が室内を見渡して言う。その芙蓉に、女官が戸惑いの表情を浮かべた。
「え…でも南殿は趙夫人さまの…」
「私のことはよいのです。さ、玉蘭さま参りましょう」
芙蓉は毅然と言い放つ。
「あの…わたしは、ここでも全然かまわないのですが…」と、玉蘭が空気を読んでも、
「いいえ、御寮では第一夫人さまにふさわしくありません。何事にも分相応というものがあるのですよ」
芙蓉はかたくなに玉蘭を連れ出した。

