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クラゲ色の夏
第1章 クラゲ色の夏

「わたし、クラゲになりたいの。小さい頃からとろくて、いつも周りのペースについていけないから。クラゲになって、プカプカ浮いて毎日ぼーっとしながら過ごしていけたらいいなって思ってる。昔ママに、ヒトじゃなくて、クラゲに産まれたら良かったねって言われて、ママもわたしがとろいの気にしてるのかなって。都会が合わなくて、こっちに来よって言ってくれたのもママだから……ねえ、意味わかる?」

 わたしの説明、ちゃんと伝わったかな?
 自分のことを誰かに話すのも、あんまり得意じゃない。

「わかるよ! ことみさんのお母さんは、ことみさん想いなんだね。きっとことみさんが自分のペースで生きてってもいいんだよって伝えたかったんだよ」
「そう、なのかなあ。でも、勉強できないし、いつもぼーっとして人の話聞けないから、こんなわたしじゃ就職とかできないかもって……」

 つい不安が漏れる。ちゃんと、大人になって、生きていけるかな。

「大丈夫だよ! 就職できなかったら、俺のお嫁さんになってよ!」

 突然の、大声。
 前を歩く他の生徒たちが振り向いた。

「あ、あの、いや、別に就職試験とか落ちた時の逃げ道にとかじゃなくて、あ、今のは……」

 ぶんぶんと手を振っている遠藤くん。よくわからない動きだった。

「だーかーら、展開早いって! 普通先に、『付き合って』だし、好きなことまず伝えないと」
「あ、あ、バラすなー!」

 真っ赤になった遠藤くん。

「そ、その、実は転校してきた時から気になってて、おっとりしてる感じとか雰囲気とか。こんな、公開告白するつもりじゃなくて、真面目に付き合ってほしくて……」

 もごもご。

「…………」

 言葉がすぐに見つからず、遠藤くんをじっと見つめてしまう。
 遠藤くんは光の速さで目を逸らした。
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