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ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
「美桜……?」
背筋を冷たいものが走った。
穂乃果は慎重に、その靴に歩み寄る。はっとした。すぐ先が崖になっていた。剥き出しの岩と地面、直角ではないけれど、それに近い急斜面が数メートル続いている。
その下の方にーー人影が見えた。
「美桜! 美桜‼︎」
穂乃果は地面に這うようにして、後ろ向きで崖に両足を垂らした。つま先で、体重をかけられそうな場所があるかを懸命に探る。白いセーラー服は泥まみれで、剥き出しの足はごつごつした岩肌で擦れ痛みがあったが、そんなものは少しも気にならなかった。
「……っ」
地面まで三十センチほどの高さまで降り、最後は飛び降りた。その瞬間、右ふくらはぎに鋭い痛みが走る。
スマートフォンのライトで足元を照らすと、小枝が刺さって切ってしまったようだった。五センチほどの切創から、赤い血が滲み、雨水に混ざって流れていく。
膝にもいくつも擦り傷があったが、穂乃果は構わず美桜に駆け寄った。
「美桜……」
その姿を見下ろし、一瞬動けなかった。美桜は地面に仰向けに横たわっていて、左足首が不自然に曲がっている。
そしてその数十センチ離れたところにーー千切れた右腕が転がっていた。

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