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禁忌の鍵を外す夜【短編】
第2章 後日談
あの騒がしい婚約破棄の騒動から、数ヶ月が経った。
私は父の許しを得て屋敷を出て、白城と二人、静かな街の小さな邸宅で暮らし始めている。
彼はもう、私の執事ではない。けれど、今夜も私の入浴後に髪を乾かしてくれるのは、彼の役目だった。
ドライヤーの音が止まり、部屋に静寂が訪れる。
鏡越しに視線が絡み合う。もう、あの夜のような切なさはどこにもない。そこにあるのは、互いを深く慈しみ合う穏やかで熱い想いだけ。
白城はゆっくりと私の前に膝をつくと、私の両手を引き寄せ、指先に愛おしそうに口づけを落とした。
「……もう、手袋をしてあなたに触れる必要もないのですね」
低く、少し掠れた彼の声が鼓膜を震わせる。
白城の手が私の頬を包み込み、そのまま引き寄せられるように唇が重なった。
「ん……っ、白城……」
これまでの遠慮がちなキスとは違う、情熱に満ちた口づけ。
彼は私の肩を優しく抱き寄せ、互いの鼓動を感じながら、幾度も想いを確かめ合うように唇を重ねた。
白城は私を優しくエスコートし、二人で寄り添うように横たわった。至近距離で見つめ合う彼の瞳は、見たこともないほど深く、愛おしさに濡れていた。

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