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素直になれない幼なじみ【短編】
第2章 決壊の足音
「シャワー借りるわ」
皇はそう言うと、私の許可も取らずに勝手に脱衣所へ向かい、備え付けのシャワーを使い始めてしまった。
ワンルームの狭い部屋には、お風呂場からのシャワーの水音が容赦なく響いてくる。
私は一人きりになったベッドの上で、膝を抱えて小さくなっていた。
( ……最低 )
心の中で、小さな毒を吐く。
今頃彼は、さっきまでまとっていたあの甘い香水の匂いを、綺麗さっぱり洗い流しているのだろう。
他の女と過ごした証拠を私の部屋で消して、何事もなかったかのように幼なじみの顔に戻ろうとしている。
それがたまらなく嫌で。同時に、そんなことで傷ついている自分自身が惨くて仕方がなかった。
〈都合のいい幼なじみ〉
もし皇にそう思われているのだとしたら、いっそ今すぐ彼を追い出すべきなのに──、できない。
彼が他の誰のところでもなく、最後に私の部屋を選んでくれたという事実に、ほんの少しだけ優越感を抱いてしまう自分がいるから。

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