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素直になれない幼なじみ【短編】
第1章 午前0時
「…頼み?」
「そ。終電逃しちゃったんだよね。タクシー代もないし、今夜はここに泊めてくんない?」
皇は悪びれもせず、いつもの調子で言った。
胸の奥が、ドクンと嫌な音を立てる。
幼なじみとはいえ、成人した男女だ。
いくら昔からの仲だからといって、あまりにも警戒心がなさすぎる。
「…ダメに決まってるでしょ。ネカフェでもどこでも行きなよ」
「冷てぇなー。幼なじみの危機だぞ?外、結構寒いんだけど」
皇はそう言って、わざとらしく身震いしてみせた。
拒絶したい──。これ以上、彼を自分のパーソナルスペースに入れたら、胸の奥に隠している気持ちが溢れてしまいそうだから。
けれど、寒そうに首をすくめる彼を追い出すことも、私にはできなかった。
「……本当に、泊まるだけだからね。変なことしたらすぐに警察呼ぶから」
「へいへい。了解」
観念してチェーンを外し、ドアを大きく開く。
皇は「お邪魔しまーす」と軽い足取りでワンルームの部屋に上がり込んできた。
その、彼が横を通り過ぎた瞬間だった。

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