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素敵な笑顔
第2章 詩 生命の詩
「なにか食べて帰るか?」

 お父さんの問い掛けに、
美香ちゃんは黙ったまま首を横に振った。
断ってくれてよかったと、あたしは思う。
食欲なんか全然ないし、飲食店の平和な雰囲気は、
まったくもって今の気分にそぐわない。

「詩子は、今日は泊まっていけるのか」

 すがるようにお父さんに聞かれたけど、
あたしは申し訳ない気持ちで首を振った。

「帰らなきゃ」

 お父さんは力なく、そうか、と呟いた。
美香ちゃんはなにも言わなかったけど、
あたしに、帰らなくちゃならない理由なんかない、
ってわかられていることがわかった。

「銀ちゃん、詩子を駅まで送ってあげて。
わたしは歩いて帰る。
ちょっとだけ、ひとりにさせて」

 未だに夫婦べったり仲良しなふたり。
それが当たり前だと思っていたけど、
世の両親像との違いに驚かされたのは、
もうずっと昔のこと。
美香ちゃんがひとりになりたいって言うなんて相当だ。
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