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美香・透明な婚姻
第2章 襖の向こうの背徳、香る余韻
「もう今夜は寝ましょう」
これ以上求め合えば、今夜の別れの寂しさが勝ってしまう気がしたから。甘美な夜が、静かに終わりを告げようとしていた。水面の泡がパチパチと儚く弾けて消えていくような、切なく想いを抱えたまま、私は彼が部屋をあとにするのを見送った。
襖が閉まり、一人になった部屋で、私は彼が残していった濃厚な余韻に包まれていた。股間にはまだペニスの感触が深く刻み込まれており、部屋には私たちの情交の甘い匂いが漂っている。
彼がさっきまで身を横たえていた布団の余白にそっと手を伸ばすと、そこには微かな体温が、まだ残っていた。激しく乱れたシーツの皺を指先でなぞりながら、肌に焼き付いた彼の手のひらの熱や、耳の奥にこびりついている低く甘い吐息を、一つ一つ拾い集めるように反芻する。
私の奥深くでは彼が与えてくれた快楽の熱が生々しく脈打っており、ほんの少し身じろぎするだけで、先ほどまで強く抱きしめられていた瞬間の記憶が鮮やかに蘇ってきた。
限られた時間の中でしか繋がれない背徳の関係。
けれど、その制限があるからこそ、私たちはこうして激しく惹かれ合い、セックスを心の底から楽しむことができるのだと、暗闇の中で静かに噛み締めていた。
窓の隙間から忍び込む夜風が、汗ばんで火照った肌をひんやりと撫でていく。この甘く気怠い余韻が完全に冷めきってしまう前に、私は彼との秘密の夜を自分の中へ深く閉じ込めるように、彼の匂いが色濃く染み付いた枕に顔をうずめ、そっと目を閉じた。
やがて、浅いまどろみの中で彼の幻の温もりを何度もなぞっているうちに、部屋を満たしていた濃密な闇が、少しずつその色を薄れさせていった。
ふと気づけば、閉ざされた窓の隙間から、白々と冷たい朝の光が忍び込んできている。あれほど濃かった部屋の空気は、いつの間にか静寂を伴ったひんやりとした朝の空気にすり替わっていた。遠くで微かに響く鳥のさえずりが、私を淫靡な夜から、否応なしに白日の現実へと引き戻そうとする。
彼と過ごした時間がまるで泡沫の夢だったかのように、朝の光は部屋の隅々までを照らし出す。私は、自分の中にくすぶる消え残った熱をそっと胸の奥深くにしまい込むように、ゆっくりと体を起こした。そして、故郷で迎える新しい朝が始まろうとしていた。
これ以上求め合えば、今夜の別れの寂しさが勝ってしまう気がしたから。甘美な夜が、静かに終わりを告げようとしていた。水面の泡がパチパチと儚く弾けて消えていくような、切なく想いを抱えたまま、私は彼が部屋をあとにするのを見送った。
襖が閉まり、一人になった部屋で、私は彼が残していった濃厚な余韻に包まれていた。股間にはまだペニスの感触が深く刻み込まれており、部屋には私たちの情交の甘い匂いが漂っている。
彼がさっきまで身を横たえていた布団の余白にそっと手を伸ばすと、そこには微かな体温が、まだ残っていた。激しく乱れたシーツの皺を指先でなぞりながら、肌に焼き付いた彼の手のひらの熱や、耳の奥にこびりついている低く甘い吐息を、一つ一つ拾い集めるように反芻する。
私の奥深くでは彼が与えてくれた快楽の熱が生々しく脈打っており、ほんの少し身じろぎするだけで、先ほどまで強く抱きしめられていた瞬間の記憶が鮮やかに蘇ってきた。
限られた時間の中でしか繋がれない背徳の関係。
けれど、その制限があるからこそ、私たちはこうして激しく惹かれ合い、セックスを心の底から楽しむことができるのだと、暗闇の中で静かに噛み締めていた。
窓の隙間から忍び込む夜風が、汗ばんで火照った肌をひんやりと撫でていく。この甘く気怠い余韻が完全に冷めきってしまう前に、私は彼との秘密の夜を自分の中へ深く閉じ込めるように、彼の匂いが色濃く染み付いた枕に顔をうずめ、そっと目を閉じた。
やがて、浅いまどろみの中で彼の幻の温もりを何度もなぞっているうちに、部屋を満たしていた濃密な闇が、少しずつその色を薄れさせていった。
ふと気づけば、閉ざされた窓の隙間から、白々と冷たい朝の光が忍び込んできている。あれほど濃かった部屋の空気は、いつの間にか静寂を伴ったひんやりとした朝の空気にすり替わっていた。遠くで微かに響く鳥のさえずりが、私を淫靡な夜から、否応なしに白日の現実へと引き戻そうとする。
彼と過ごした時間がまるで泡沫の夢だったかのように、朝の光は部屋の隅々までを照らし出す。私は、自分の中にくすぶる消え残った熱をそっと胸の奥深くにしまい込むように、ゆっくりと体を起こした。そして、故郷で迎える新しい朝が始まろうとしていた。

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