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美香・透明な婚姻
第7章 秘密の砂浜 〜二人の果実〜
三日目の昼。私は再び、よし兄と肌を重ねることになる。
「美香さん、二人で秘密の場所に行きましょう」
その言葉の裏にある意味を、私はすべて承知の上で受け入れていた。決して、心から望んでそうしたわけではない。妊娠さえしなければ、よし兄とどれほど身体を交わそうが、今の私にはどうでもいいことだった。
ただ、乾ききった大地が水を欲するように、男の逞しい腕に抱かれたいと願う自分がいた。それはきっと、大阪という日常から遠く離れたこの香川の地を夢の舞台に見立て、ただ単に現実から逃避したかっただけなのかもしれない 。
昨日訪れた海水浴場から少し離れた、人気のない辺鄙な場所で軽トラが止まった。しかし、どこを見渡しても海は見当たらない。車を降りると、浅黒い肌のよし兄が白い歯を覗かせ、申し訳なさそうに微笑んだ 。
「美香さん、サンダルでも大丈夫やけど、少し歩くけどええかな?」
土埃の舞う細い小道を進む。風に揺れる雑草はからからに乾いていたが、足元にはところどころに雨の名残の水たまりが光っていた。私はそれを器用に避けながら、彼の後ろを歩いていく。しばらく進むと、突如として視界がひらけ、広大な草原が目の前に飛び込んできた。緑の絨毯が、抜けるような青空と鮮やかな境界線を描いている 。
「美香さん、もう少しじゃけえ」
よし兄は何度も私を振り返りながら、緩やかな丘を登っていく。その頂へたどり着いた瞬間、パッと視界が切り替わった 。
そこには、ただただ圧倒的な青い海が広がっていた 。
息を呑む私を先導するように、よし兄は丘を下っていく。その先には、緩やかに蛇行する綴れ折りの坂道が続いていた。
「さあ、こっち。足元に気をつけて」
差し出されたよし兄の手を握り締め、一歩一歩坂を下りる。辿り着いた海岸は、丸石がまるで絨毯のように敷き詰められていた。石を踏みしめる乾いた音を響かせながら、彼は私の手を引いて歩く。行く手を阻むようにそびえ立つ大きな岩の影を通り抜けると、そこには猫の額ほどの、小さな白い砂浜がひっそりと隠されていた 。
静まり返ったその空間には、ただ寄せては返す波の音だけが満ちている 。
「美香さん、二人で秘密の場所に行きましょう」
その言葉の裏にある意味を、私はすべて承知の上で受け入れていた。決して、心から望んでそうしたわけではない。妊娠さえしなければ、よし兄とどれほど身体を交わそうが、今の私にはどうでもいいことだった。
ただ、乾ききった大地が水を欲するように、男の逞しい腕に抱かれたいと願う自分がいた。それはきっと、大阪という日常から遠く離れたこの香川の地を夢の舞台に見立て、ただ単に現実から逃避したかっただけなのかもしれない 。
昨日訪れた海水浴場から少し離れた、人気のない辺鄙な場所で軽トラが止まった。しかし、どこを見渡しても海は見当たらない。車を降りると、浅黒い肌のよし兄が白い歯を覗かせ、申し訳なさそうに微笑んだ 。
「美香さん、サンダルでも大丈夫やけど、少し歩くけどええかな?」
土埃の舞う細い小道を進む。風に揺れる雑草はからからに乾いていたが、足元にはところどころに雨の名残の水たまりが光っていた。私はそれを器用に避けながら、彼の後ろを歩いていく。しばらく進むと、突如として視界がひらけ、広大な草原が目の前に飛び込んできた。緑の絨毯が、抜けるような青空と鮮やかな境界線を描いている 。
「美香さん、もう少しじゃけえ」
よし兄は何度も私を振り返りながら、緩やかな丘を登っていく。その頂へたどり着いた瞬間、パッと視界が切り替わった 。
そこには、ただただ圧倒的な青い海が広がっていた 。
息を呑む私を先導するように、よし兄は丘を下っていく。その先には、緩やかに蛇行する綴れ折りの坂道が続いていた。
「さあ、こっち。足元に気をつけて」
差し出されたよし兄の手を握り締め、一歩一歩坂を下りる。辿り着いた海岸は、丸石がまるで絨毯のように敷き詰められていた。石を踏みしめる乾いた音を響かせながら、彼は私の手を引いて歩く。行く手を阻むようにそびえ立つ大きな岩の影を通り抜けると、そこには猫の額ほどの、小さな白い砂浜がひっそりと隠されていた 。
静まり返ったその空間には、ただ寄せては返す波の音だけが満ちている 。

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