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開発された女教師〜純愛の果ての真の快楽〜
第2章 静かなる予兆
駅まであと少しという、街灯の影が長く伸びる交差点の手前だった。

秋がふっと足を止め、身体を七海の方へと向けた。

​「橘先生、僕、あそこのコンビニに寄ってから帰りますね」
「え? あ、うん……何か買うの?」

不思議そうに見上げる七海に、秋は声を潜め、困ったような、でもどこか艶っぽい苦笑いを浮かべた。

「ほら、二人で一緒に研修寮の門をくぐるところを誰かに見られたら、怪しまれちゃうでしょ? だから、橘先生が先に帰ってください。僕は少し時間をずらして戻りますから」

​その言葉に、七海の心臓がまた跳ねた。

最後の最後まで、男性ばかりの研修で女性を誘ったという事実を周囲に隠し通すための、徹底した配慮。

完璧で冷たいデキる女としての自分の立場を、彼は何よりも守ろうとしてくれている。

そのスマートな優しさに、七海は胸の奥がぎゅっと切なくなるような感覚を覚えた。

​「……そっか。ありがとね、そこまで気を使ってくれて」
「いいえ。――橘先生、今日は本当にありがとうございました。すごく楽しかったです」

​秋はそう言うと、どこまでも愛おしそうに目を細め、優しく微笑んだ。

その塩顔の端正なマスクに真っ直ぐ見つめられ、七海の白い頬が夜の闇の中で熱く火照っていく。

​「私の方こそ、ありがと。……私も、すごく楽しかった」

​サバサバとした調子を保つのが精一杯だった。本当はもっと一緒にいたかった、という本音を隠すように、七海は小さく手を振って彼と別れた。

​一人になり、研修寮へと続く静かな夜道を歩き始める。

規則正しい足音だけが響く中、七海の頭の中は、完全に本庄秋という男に支配されていた。
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