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ウイングの徒然草
第7章 本能寺の火種
そして、大きな原動力になったものが、もうひとつあります。
AIサービスに作品のプロットを相談した時のことです。
光秀の冤罪を、最初から最後まで描いた小説はあまりない。
なぜなら、難易度が上がるからです。
検証本であれば、検証すればそれでよい。
でも、小説の場合は物語として仕上げなければならない。
そういう趣旨の答えが返ってきました。

その言葉は、なぜか私の中に強く残りました。
難しい。
あまりない。
最初から最後まで描くには、構成の難易度が上がる。

普通なら、そこでやめるのかもしれません。
けれど私は、逆に思ってしまいました。
なら、最後まで書いてみたい。

私の中では、光秀さんは「やっていない」からです。
もちろん、これは史実の正解を主張したいわけではありません。
誰かの説を否定したいわけでもありません。
ただ、長年考え、検証し、違和感を積み重ねていくうちに、私にはそうとしか見えなくなっていました。

そしてもうひとつ、背中を押してくれたものがあります。このサイトで読んだ、ある歴史ものの作品でした。官能を含む作品ではありましたが、私が強く惹かれたのは、そこだけではありません。記録に残っていない隙間を、物語としてどう埋めるのか。史料と史料の間にある沈黙を、どう人物の感情や行動として立ち上げるのか。その書き方を読んだ時、思いました。

ああ、こういう形なら、自分も本能寺を書けるかもしれない。
そして、最後にはこう思いました。
もう書き始めよう、と。
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