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ウイングの徒然草
第7章 本能寺の火種
私も、昔はそれを普通に見ていました。けれど、大人になってから、少し見方が変わりました。きっかけのひとつは、『信長の棺』という作品です。

私はこの作品を、最初にテレビドラマで観ました。そこで強く印象に残ったのが、信長の遺体が見つからなかった、という点でした。それまでも知識としては知っていたはずです。けれど、物語としてその部分を見せられた時、急に引っかかるものが生まれました。

あれ?そういえば、信長の遺体はなぜ見つからなかったのだろう。
本能寺の変という出来事が、それまでとは少し違って見えるようになったのです。

それから、少しずつ史料を慎重に調べるようになりました。テレビの検証番組も、観るようになりました。時には、某テレビ局のオンデマンドをこっそり契約して、関係する番組を何度も観たこともあります。気になる番組は録画もしました。今思えば、かなり前から本能寺の火種だけは温めていたのだと思います。

ただ、いつか本能寺の変を書いてみたいと思いながらも、簡単には書けませんでした。一番大きな理由は、私自身が、あまり読書が得意ではないことです。活字を読むのが得意な人間ではありません。どちらかといえば、映像や動画で見て、そこから覚えていくタイプだからです。

ですから、史料を読み込み、出来事を整理し、人物の動きを追っていく作業は、決して楽なものではありませんでした。

それでも、書くことは好きでした。でも、先に官能を書き始めました。しかも、ちょっとだけSMを、緊縛を書こうと思ってしまいました。だって、その方が楽しかったからです。ただ、不思議なもので、官能を書いていても、本能寺の変への違和感は消えませんでした。

お馴染みの本能寺の変を見るたびに、どこかで「うーん……」となってしまう。
ドラマとしては分かる。
名場面としても分かる。
視聴者が待っている場面だということも分かる。

でも、長年いろいろな検証を見たり、史料を追ったりしているうちに、どうしても思うようになりました。本当に、それだけだったのだろうか。

近年分かってきたことや、史料の読み直しを重ねていくと、私たちがよく知っている本能寺の変とは、かなり違う景色が見えてきます。リアリティを追求していくうちに、私の中の本能寺の変は、少しずつお馴染みの展開から離れていきました。
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