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ミントに発情
第1章 ミントに発情
ある日、旦那の浮気に気づいて、憂鬱といら立ちに急き立てられるように、要のもとに駆け込んだ。
マルボロのボックスを一つ買って、その場で箱を開けながら言った。
「ライターもちょうだい」
要の店先には喫煙スペースがある。そこで吸おうと思ったのだ。
要は私の手から箱を取り、一本取り出すと私の口に加えさせて、火をつけてくれた。
思いきり吸って、一気に煙を吐き出した。むしゃくしゃする思いが白い煙とともに胸の内からあふれ出る。
要が、俺も付き合うよ、と一本咥えて火をつけた。煙が二人を包み込む。お互いにしばらく無言で味わった。
「どう?すっきりした?」
なだめるような、低く甘い声で要が言って、私を見下ろした。
「ちょっと、すっきりしたかも。でも、たばこの匂いが口に・・・」
タバコを吸うのはこの時が初めてだった。
口の中に苦味がべったり貼りついたような違和感があった。
「大丈夫。ミントで匂い、消えるよ」
要はポケットからミンティアのケースを出し、一粒取り出して唇に挟む。
そうやって見下ろしてくる要の顔を見上げて、呼吸が止まる。
私の肩を抱き寄せて、顔を近付け、唇がギリギリ触れない距離まで来ると、少し開いた私の唇の隙間に、ミントの粒をそっと落とした。
粒を口に含むと、つんと痛いくらいの刺激が鼻の奥まで走った。
一瞬視界が広がったような気さえするほど、爽快な香りが広がる。
「いいよね?」
ミントの味のことなのか、ここから先へ進むという合図なのか…
胸のドキドキが、要にも聞こえてしまうほどに高鳴って、胸を打つ。
次の瞬間、要の唇が、私の唇に優しく触れた。
また、呼吸が止まる。

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