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壊滅の刻
第4章 南海
遂に動いた南海トラフ巨大地震。

令和の関東大震災の発生から36時間後の午後4時過ぎ。

マグニチュード8を超す大地震が発生し、宮崎、高知、徳島、和歌山では県民が高台を目指し、避難所に向かった。予測通りに巨大津波が発生し、宮崎、高知、徳島、和歌山に迫った。

普段の避難訓練の通りに、慌てることなく、着実に避難ができた。なんと言っても午後4時過ぎという時間が救いだった。

二月の4時。陽は傾き、西の空から海を照らしていた。海の様子はすぐにわかった。足元は夕陽に照らされて、歩きやすかった。そもそも、寝ている人もいなかった。下校したばかりの子どもたちは家族と学校に取って返した。

過疎化の進んだ地方。避難スペースは充分に確保できていた。そして、物資も。

10mを超える巨大な津波が浜辺の集落を襲った。しかし、すでにそこは「もぬけの殻」だった。一部では想定を超えた津波で被害も出たが、人的被害は比較的小さかった。とはいえ、流出した家屋は多く、市町村の職員も住民も、復興のことを考えると暗然たる思いだったが、逆に言えば、復興のことを考える余裕があった。紀伊水道を抜けた津波は、大阪湾や播磨灘に流れ込んだ。播磨灘は広く、津波は高くはならなかった。大阪湾の湾岸に広がる埋め立て地は、地震の揺れで液状化し、防潮堤が一部で機能しない状態になった。

淀川を始め、大阪湾に注ぐ河川を逆流する津波。あちらこちらで防潮堤を超え、大阪市内の地下に一部は流れ込んだが、午後4時という時間が助けになった。多くが地上に、さらに高い頑丈な建物に避難ができた。

中国人の在留者が多かった大阪だが、高市総理の台湾有事発言以降、中国人の多くは帰国の途に就き、結果的に、大きな混乱もなく、暴動もなく、避難が完了し、その後の災害支援も避難所の救援物資の配布も円滑に行われた。

東京では、令和の関東大震災の余震が続き、西日本では、南海トラフ巨大地震の余震が続き、日本の半分が余震で揺れ続けていた。
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