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凋落の蜜:隣人と淫乱人妻
第14章 静寂の中で(4)
激しい痙攣が収まった後、残されたのは静寂と、首筋に浮かぶ玉のような汗だけだった。冷房の効かない部屋の重苦しい空気さえも、今は愛おしい。私たちは、一つに繋がった秘所の余韻を感じながら、ただ泥のように、情欲の熱気が支配する深淵へと沈んでいった。

嵐のような絶頂が去り、和室にはただ重苦しいほどの静寂と、濃密な余韻が戻った。 暗闇に慣れた目で、私はテーブルに置いたピアスと真珠のネックレスを、震える指先で身につける。隣では、現実へと引き戻すようなベルトの金具の音がカチャカチャと響いていた。

平島さんが私を「奥さん」と呼ぶたび、脳裏には家で留守を守る夫の顔がかすめる。夫が寄り合いが苦手でこの場にいないことを幸運に思いながらも、その不在を裏切っているという事実に、私は言葉にできない歪んだ悦びを感じていた。「いけないことをしている」という自覚が、皮肉にも私の身体をより敏感に変えていく。

特に、彼が私の指を取り、結合部に触れさせた時のこと。

「入っているところが見える」という言葉は、私の理性を無残に打ち砕いた。黒のパンストを片足だけ残したまま、無様に脚を開かされる姿は、貞淑な妻としての仮面を剥ぎ取られたも同然だった。

開け放たれた襖の向こうからは、遠く蝉時雨さえ届かない、耳が痛くなるほどの静寂が押し寄せてくる。濃厚な情欲の匂いと、熱に浮かされた藺草の香りが混ざり合うこの空間で、

「明日のお葬式には、ご主人も来るんだろ?」と彼は静かに口を開いた。

「ええ……」

「また明日も、あなたの喪服姿が見れるんだな」

聖と俗が混じり合う異常なシチュエーションに、羞恥心と共に、逃げ場のない快楽が全身を駆け抜けた。

「奥さん、旦那さんは知らないんだろうね。君がこんなに暑苦しい和室で、なりふり構わず声を上げ続け、俺のものに強欲に縋り付いているなんて」

「旦那さん」という存在を突きつけられた瞬間、私の脳裏には一瞬、冷や水に近い戦慄が走った。

(……そう。私は今、あの方の知らない私になっている)

真珠のネックレスを首にかけ、日常の姿に戻ろうとする私の指先は、小刻みに震えていた。自宅へ向かって走り、門を潜ったとき、私の身体は夏の夜の熱気など忘れたかのように、冷たく、ひんやりと乾ききっていた。堕落していく自分を突き放す彼の最後の言葉は、私の理性の最期を告げる甘美な弔辞であった。
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