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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第27章 父の日の前夜 ~夢の余韻(start-2day)~彩香編②
デザートが出た頃、貴がようやく本題を切り出した。

「彩香さん……お父さんより20歳も下で、しかも元会社の後輩なんですよね?」

「はい……そうです」

「正直、びっくりしてる。お父さんが本気で結婚するって聞いたとき、もっと年上の落ち着いた人かと思ってました」

彩香は素直に頷いた。

「私も……最初は自分でも不思議でした。健治さんがすごく優しくて、守ってくれて
……怖い部分もあるけど、今はそれが愛おしくて。
貴くんには突然お姉さんみたいな人が現れて、嫌な思いをさせてると思います。
本当にごめんなさい」

彩香の目が少し潤んだ。健治さんがすぐ横から彼女の肩を抱き寄せ、守るようにした。

貴はフォークを置いて、ため息をついた。

「嫌とかじゃないよ。ただ……お父さんが昔、母さんを泣かせた話は知ってるから。
彩香さんが逃げたって聞いたときも、正直『またか』って思った。
お父さん、彩香さんのこと束縛しすぎてないですか?」

健治さんが低く言った。

「貴……」

彩香は健治さんの手を優しく握り、静かに答えた。

「束縛はされてます。でも、私がそれを望んでいるんです。
幼い頃にお父さんがいなくて、ずっと寂しかったから……
健治さんのような逞しくて、全部受け止めてくれる人に甘えたいって思ってしまう。
貴くんから見たら、情けないかもしれないけど……
私は健治さんと結婚して、家族になりたいんです」

貴は彩香の真っ直ぐな瞳を見て、しばらく黙った。

「……わかった。そこまで言うなら、俺は反対しないです。
ただ、お父さんがまた昔みたいにならないよう、見てます。
彩香さんも、辛くなったら我慢しないで。俺、意外と味方できるかもしれないです。」

彩香の顔がぱっと明るくなった。

「ありがとうございます、貴くん……!」

健治さんは満足げに頷き、彩香の頭を優しく撫でた。

その仕草を貴は苦笑しながら見ていた。

「なんか……お父さん、完全にデレデレじゃん。
彩香さんのこと、めっちゃ大事にしてるんだな」

「ああ。大事だ。俺の妻になる人だからな」

食事が終わる頃には、ぎこちなさは少しずつ和らいでいた。
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