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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第27章 父の日の前夜 ~夢の余韻(start-2day)~彩香編②
プロポーズから約1ヶ月後、年末が近づいたある土曜の午後。

健治さんの提案で、
彩香と貴の初対面はマンション近くの
落ち着いたイタリアンレストランで行われることになった。

個室を予約し、気まずくなりすぎないようランチの時間帯に設定した。

彩香は朝から何度も服装を迷い、
最終的に柔らかいベージュのニットと膝丈のスカートを選んだ。
黒縁メガネをかけ、緊張で頰が少し強張っている。

左手の婚約指輪を何度も見つめては深呼吸を繰り返した。

「健治さん……私、貴くんに嫌われたらどうしよう……」

「大丈夫だ。お前は素直で優しい。それだけで十分だ」

健治さんは彩香の細い肩を抱き、厚い胸板に軽く引き寄せて安心させた。

レストランに着くと、貴はすでに席に座っていた。
19歳とは思えないほど背が高く、健治さんに似た凛とした目鼻立ちの少年だった。

「遅れてすまない、貴」

健治さんが声をかけると、貴は立ち上がり、彩香をまっすぐ見た。
彩香は健治さんの後ろから少し隠れるようにしながら、深く頭を下げた。

「はじめまして……中山彩香です。
貴くんにお会いできて嬉しいです。今日はよろしくお願いします。」

声が少し上ずっていた。
貴は一瞬、彩香の幼い可愛い顔と小柄な体を見て、わずかに目を見開いた。

「……はじめまして。貴です。よろしくお願いします。」

三人が席に着くと、健治さんが自然と彩香の隣に座り、彼女の腰に軽く手を回した。
貴はその仕草をちらりと見て、内心で複雑な表情を浮かべた。
彩香は緊張しながらも、
事前に準備していた手土産のクッキー(自分で焼いたもの)を差し出した。

「これ……よかったら食べてください。貴くんの好きなスポーツは野球?
健治さんから少し聞きました」

貴はクッキーを受け取りながら、素っ気なく答えた。

「まあ、普通にやってます。お父さんとキャッチボールするくらいだけど」

会話は最初、ぎこちなかった。
彩香がアニメや野球の話題を振ると、貴は短く返事をする程度。

健治さんがフォローするたび、貴の視線が父と彩香の親密な距離に注がれた。
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