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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第26章 父の日の前夜 ~夢の余韻(start-2day)~ 彩香編①
大阪のアパートで朝を迎えた翌日

彩香はベッドの上で健治さんの広い胸に顔を埋めたまま、長い時間動けなかった。

健治さんの逞しい腕が、背中から腰にかけて優しく、しかし確実に彩香を抱きしめている。

昨夜の健治さんの言葉が頭の中で繰り返された。

「全部俺のものにしたい」

「でも、お前が嫌がることはしない」

彩香は目を閉じて、自分の心と向き合った。

(怖い……。健治さんの愛は重くて、独占欲が強くて、逃げ出したくなる。でも……)

逃げてから毎晩寂しかった。

誰にも言えない孤独の中で、結局一番安心できたのは、
この厚みのある胸板と、父親のように包み込んでくれる大きな手だった。

恋愛未経験で、幼い頃から父親の愛を知らなかった彩香にとって、

健治さんは「守ってくれる存在」そのものだった。

「……私、甘えたいんです」彩香は小さな声で呟いた。

健治さんの体がわずかに緊張したのがわかった。

「健治さんのことが怖いのに……
傍にいてほしい。守ってほしいって、思ってしまう自分がいるんです。情けないですよね」

健治は彩香の髪を優しく撫で、渋い声で答えた。

「情けなくない。お前は素直で、一途で、それでいい。俺が受け止める。
……一緒に暮らそう、彩香。ここ大阪でもいいし、神奈川に戻ってもいい。
お前が決めてくれ」



彩香は迷った末に、健治さんの胸に顔を押しつけた。


「もう一度……一緒に暮らしたいです。
でも、急に全部元に戻すんじゃなくて、少しずつでいいですか?」

「わかった。約束する」


こうして、彩香は再び健治さんと暮らし始めた。

大阪の少し広い1LDKに二人で移り、
彩香は前の小さな会社を続け、
健治さんはリモート勤務を増やして週の半分を大阪で過ごす形にした。

完全に戻るわけではなく、「新しい同棲」として始めることにした。
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